記憶ゲーム

☆☆☆

朝の会の時にはどうにか押し込めたけれど、啓治の怒りは頂点に達しているみたいだ。


このまま啓治を巻き込んでいたら、きっととんでもないことになってしまう。


そう考えた僕は休憩時間になると、自分から啓治に話しかけた。


「手伝ってくれてありがとう。でもここから先は僕1人で大丈夫だから」


言いながら、こんな風に自分から啓治に話しかける日が来るなんて思ってもいなかったと考える。


椅子に座ったままの啓治は僕を見上げるようにして睨みつけてきた。


その表情にひるんでしまいそうになる。


「ほ、ほら。もともとは僕が梨乃を探したいと思ってやっていたことだし、啓治は関係なかったし」


説明する口調がしどろもどろになってしまう。


説明すればするほど、啓治の表情は険しくなった。


最後には僕の言葉は尻すぼみになって行って、消えていってしまった。


啓治は僕をジッと睨みつけている。


なにも言わなら威圧感に背中に汗が流れていくのを感じた。


と、そのときだった。


突然啓治が勢いよく席を立ったのだ。


僕はビクリと震えて条件反射のように身構える。


殴られる!


そう思ったが、いつまで待っても拳は飛んでこなかった。


恐る恐る顔を上げると啓治はようやく口を開いた。


「大夢までいなくなったんだ。これはもうお前だけの問題じゃねぇ」