規制アプリ

「でも、その……」


聞きたいことがあったけれど、どう質問していいのか悩んであたしは口ごもる。


それを察して前田さんは微笑んだ。


「あまりに違うでしょう? あたしと樹里」


「うん。そうだね」


「樹里もね、前はあんな子じゃなかったんだよ」


「そうなんだ?」


「うん。小学校の頃にはいじめられっ子を助けたりもしてたんだから」


あの樹里がイジメから人を助ける?


信じられなくてあたしは瞬きを繰り返した。


「でもね、そうやって助けても結局自分にイジメが戻ってくるってわかっちゃったみたい」


前田さんはつらそうな表情を浮かべて言った。


「助けた子が自分をイジメるようになって、それで樹里、もう誰のことも助けなくなっちゃったの」


「でも、それは誰かをイジメる理由にはならないよね?」


今の樹里は自分から率先してイジメを行っている。


過去にどんなことがあっても、それは許されることじゃなかった。


「一樹君と付き合い始めて変わったの。強い人が自分の味方でいてくれると思うと、どんどん性格まで強くなっていった」


前田さんはそのことを悲しんでいるようだった。


「そうなんだ……」


他にもいろいろな要因が重なって樹里はああなってしまったみたいだ。


だけど、樹里と全く同じ経験をしてきた子が、樹里のようなイジメっ子になるとは限らない。


そこはやっぱり、樹里の性格が原因なんだろう。


「早く片付けないと、休憩時間終わっちゃうね」


前田さんに言われて我に返り、慌てて片づけを再開したのだった。