規制アプリ

☆☆☆

それからも蕾の様子は挙動不審だった。


何度も机の中やカバンに手を伸ばし、途中で引っ込めることを繰り返している。


きっと、手鏡を取りだそうとしているのだろう。


だけど取り出すことができなくて、途中で引っ込めているのだ。


「ちょっと蕾、人の話聞いてる?」


休憩時間になると樹里の不満そうな声が聞こえてきた。


蕾の顔色は悪く、ずっとソワソワと落ち着かない様子で樹里との会話も上の空だ。


そんな蕾の態度に樹里は不機嫌になりつつあった。


「う、うん」


蕾はうなづくものの、やはり会話を受け流して聞いているように見える。


「もう、なんなの蕾。そんなにあたしの話がおもしろくない!?」


ついに怒鳴りだしてしまう樹里。


クラスメートたちの視線がいっせいに樹里と蕾へ向かう。


しかし、蕾はそんなことも気にならない様子で、突然立ち上がった。


「ごめん、ちょっとトイレ」


短く言って逃げるように教室を出て行く。


あたしは慌ててその後を追いかけたのだった。