規制アプリ

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B組の教室へ入るとすでに樹里たち4人は登校してきていた。


重行はいつもどおり樹里と一樹に近い場所に立っている。


「なに見てんの? キモイんだけど」


あたしの視線に気がついた樹里がすかさず言う。


あたしは咄嗟に視線をそらせ、自分の席へと急いだ。


それでも言葉は追いかけてくる。


「なんか亜里沙って辛気臭い顔してるよねぇ」


「あははっ! わかるぅ!」


返事をしたのは蕾だ。


蕾は鏡で丹念に前髪を直しながらも、ちゃんと樹里の言葉を聞いているようだ。


「ね、重行もそう思うでしょう?」


「え、あ、え……」


樹里からの質問に重行は頷こうとしているが、言葉が引っかかって出てこない。


体も思うように動かないのか、額に冷や汗が浮かんでいる。


「どうした重行、なんか変だぞ」


一樹に言われて重行はようやく苦笑いを浮かべた。


「いや、なんでもないよ」


そう言って左右に首をふる。


しかし、人の悪口になると途端に口ごもり、肯定も否定もできなくなった。


そんな重行を見て樹里はあからさまに不振そうな表情を浮かべる。


「悪口は重行の十八番なのに、どうして今日は黙ってんの?」


「いや、違うんだ。なんか変なんだよな」


樹里に指摘されて重行は青ざめる。


ここで樹里の機嫌を損ねることになったら、普段から腰ぎんちゃくをしていた意味がなくなってしまうからだ。