規制アプリ

その瞬間教室内にざわめきが戻ってくる。


「死んだって」


「血が出てたもんね」


「でもさぁ蕾って……自業自得だよね」


誰かがそう言った瞬間、一樹が勢いよく立ち上がっていた。


椅子が広報に倒れてガタンッ! と大きな音を響かせる。


一樹はそれを直そうともせずにあたしの前までやってきた。


「なに?」


そう聞いた瞬間、一樹があたしの胸倉を掴んでいた。


さすがにパワーがあり、あたしの体は簡単に片手で持ち上げられていた。


首が絞まり、顔をしかめる。


「お前がやったんだろ!!」


「なんの……こと?」


必死で一樹から逃れようとするが、うまくいかない。


本当に力だけは人の何倍も持ち合わせているみたいだ。


「蕾になにかしたんだろ!!」


必死であたしから話を聞きだそうとしているが、アプリについての質問はできないように規制している。


周りから見たら、一樹がなにか勘違いして怒っているようにしか見えないだろう。


クラスメートたちに止めに入られて一樹はチッと大きく舌打ちをしてあたしの手を離した。


ようやく開放されたあたしは軽く咳き込んで一樹を見上げた。


「そろそろ重行もヤバかったりして」


わざとそう言うと、一樹は突然教室から駆け出した。


その後姿を見送って、あたしは微笑む。