規制アプリ

蕾は息をきらして踊りながら、樹里へ視線を向けた。


その瞬間樹里が大きく目を見開くのがわかった。


「樹里……」


蕾の声に、樹里は目をそらす。


今やもう、樹里は教室内にいてもその存在感はほとんど感じなかった。


一樹という後ろ盾を失い、すっかり自信を喪失したみたいだ。


「樹里お願い。あたしを止めて!」


蕾は懇願するように言い、樹里に近づいていく。


樹里はまた顔を上げて蕾を見た。


「蕾……」


樹里が蕾のために手を差し伸べようとした、そのときだった。


あたしは大きく窓を開いた。


3階の教室から下を除いてみると、生徒たちがとても小さく見える。


「蕾、風が気持ちいいよ! 風にあたれば少しは落ち着くんじゃない?」


と、声をかける。


伸ばしかけていた樹里の手が止まり、蕾がこちらへ振り向いた。


「はぁ……はぁ……」


蕾は荒い呼吸を繰り返して、あたしと樹里を交互に見つめる。


樹里はすでにあきらめた様子でうつむいてしまっていた。


「ほら、蕾。こっちに来なって」


「う、うん」


蕾は後ろ髪を引かれる様子で樹里から離れて、こちらに近づいてくる。