今の高校でのあたしはいつも下を向き、返事は小さく、なにを考えているのかわからない、気味の悪い存在だ。


でも、本当のあたしは違う。


友達は沢山いるし、運動は大好きだし、いつも前を向いていることができる。


その違いに一樹は気がついてしまったのだ。


「言えよ」


あたしはギュッとスマホを握り締める。


今ここですべてを話してしまっても、あたしは大丈夫だ。


だってあたしには規制アプリがあるのだから。


話してしまっても、他言できないように規制すればいいだけだ。


あたしは覚悟を決めて一樹を見た。


「知ってるでしょ。谷本伊代のこと」


その言葉に、一樹は大きく目を見開いた……。