海の見える旅館にチェックインする。

「すげー!オーシャンビュー!」

坂口くんが畳を遮って窓辺まで駆ける。

子どもみたい。

太平洋はキラキラと太陽を反射している。
どこまでも、終わりが見えない海。

そんな海を独り占めしてるような錯覚に陥る部屋。

「すごいね」

口から溢れる。

「海散歩しよ」

坂口くんが大きく笑う。

私たちは荷物を整理して、財布とスマホだけを持ってまたすぐ外に出た。