スーパーでたくさん買い込んで、坂口くんの部屋にあがる。
引っ越したばかりの名残、段ボールが三箱まだ残ってる部屋。

大学生みたいに、勉強机があることに笑う。

ベッドとテレビとテーブルと勉強机と本棚で部屋がいっぱいだ。
同じ広さのはずなのに、こんなに狭くなる?

なぜか坂口くんの台所なのに私が立つ。
なのに坂口くんが隣から口出しをしてくる。

「こんな大きいタコ、はみ出すに決まってるじゃないですか」
「じゃあ坂口くんが切ってよ」
「俺、料理は苦手なんですよ」

タコ切るだけなのに。

チラリと坂口くんを見ると、坂口くんは「ん?」とキョトンとした顔をする。

結局全部の準備を私がした。
坂口くんは意気揚々とチョコを皿に並べただけだった。


二人だけのたこ焼きパーティーは、ただたこ焼きを焼いて食べるだけなのに、不思議と楽しかった。

キムチとマーブルチョコを入れたハズレを食べただけで大爆笑。
自分でもなんでこんなに楽しいのかよく分からないけど、坂口くんがよく笑うから、私も笑う。

たこ焼きだけでこんなに盛り上がるなんて私も単純だ。

「次何入れます?」
「ちょっと待って、もうお腹苦しいんだけど!」
「俺も」

私がお腹さすってヒイヒイ言ってると、坂口くんはシャツをお腹にくっつけて出っ張ったラインを強調して見せた。

「えー胃下垂?」
「胃下垂なんですかね?」

アハハと笑う。
私も、坂口くんも。
なんて適当な笑い。

「アイスとか食べたくないですか」

突拍子もなく、坂口くんの提案。

「えーアイス?」
「別腹別腹」

そう言って坂口くんが立ち上がる。

「どこ行くの」
「コンビニ行きましょうよ」

お腹は苦しいけど、夜の散歩に行きたくて私も立ち上がった。