最低で最高のホワイトデーを

私が俯いてしまうと、ふわりと頭に優しく手が乗せられる。そして気が付けば、涼ちゃんに優しく抱き締められていた。

「ねえ、ずっと思ってたんだけど勝理くんって本当に希の彼氏なの?デートのドタキャンはしょっちゅうだし、希が辛い思いをしていても看病にも来ないし、希から話を聞いていると希が振り回されているようにしか見えないよ!」

確かに、よくよく考えてみれば勝理くんとは恋人らしいことをしたことがほとんどない。デートに行ったのも数えるほどで、あとはほとんど勝理くんに断られていた。電話やLINEが無視されることだってあった。

数え切れないほど、勝理くんには知らず知らずのうちに傷付けられてきた。でも、今回のあのLINEは一番ショックだったかもしれない。

「希、覚えてる?バレンタインの日にさ、希は泣いてた。心を込めて本命チョコを渡したのに、勝理くんに「手作りとか不衛生そうなんだけど」って言われたって……。普通の彼氏だったらそんなことしないよ」