もうひとつのILoveYou

それは朝の事だった。

「イテテテテ、はぁー
季節の変わり目って、地震やら
頭痛やら、五月病やら
なんやら、かんやら、特に
歯が痛くなるよな〜w

いいクリニック知らないか?
ホント季節の変わり目は油断
出来ん。」


それは父親が呻き出した
良く見ると父親のホッペは赤く
熟したトマト見たく赤く
プックラ.......ププ━━ッッ!!!

よく見るとオッサンリスみたいな
顔をしてホッペを、押さえ
項垂れている。

父親はアンコ系大好き、
クリーム系は勿論だーいすき。

歯磨きは朝はちゃんとやるが
寝る前のアンコはかかさない。

「なんか、甘いのくれー」

母親もハイハイとアンコ系スイーツ
を父親に出してくる。

甘やかし過ぎ
子供みたいに大喜びの父親。

このコンビで虫歯と無縁な訳が
無い。
それに寝る前の歯磨き代わりと
ガムを噛む横着者‼

遂に来る時がきた感じ‼

「親父寝る前のスイーツは
いいけど、もっと早い時間に
食えよ!
それにガムより歯磨きだぞ

お袋も、考えて食わせろよ。」

「だって、子供の頃からの
週間は中々ねえ〜」

「おふくろ‼
躾直したがイイよ!」

歯科クリニックか?
近く・・・て、上手な所って?

「-` ̗パッ ̖ ´-あー
ちょっとここから遠いけど
親父の会社からは近いよ。
待ってて・・・。」
勝成はミクの勤める歯科クリニックに、電話した。



「あの今日って開いてますか?」
少し年配の女性が応対する。

「はい。今キャンセルが入って
9時30ならあいてます。
予約制なので後は難しいですね。」

「いいです。
今から行きます」

「あのー、お名前は」

「 倉敷勝です。」

「はい倉敷様、お待ちしております。
気をつけていらしてください。」

俺は父親を急かせながら何とか
9時半に滑り込んだ。

「倉敷様、
倉敷勝さま、」

父親は少し怖気付いて、
「アノ、ビウウウイーンて音
苦手なんだよなー」

「つべこべ言わずいけよ。
行かないとずーっと痛いぞ」

ガラッと音がしてワインカラーの
ナース服にスラックス
髪を結い上げマスク姿のミクが
現れた。

いつもと違って仕事場のミクは
凛として優しそうで綺麗。
ナース服も
《《似合う━━━》》



「あっ‼」
ミクは小さな驚き声をあげた。

「ウオッ‼」
俺はミクの可憐さに驚き声をあげた

「倉敷様どうぞ‼」

ミクは俺に軽い会釈をして
親父にニッコリ微笑むと、
嫌がってた親父は、ホイホイと
ミクに連れられて扉の中へ消えて行った。

俺の心臓は๑ΘдΘ๑┣¨キ┣¨キ*
ミクに、ミクに会えたー
虫歯バンザーイ。


脚を組、雑誌を読んでいると、
チラチラ
若い子の視線を感じる。
まあ、何時ものことだ。

携帯ゲームで暇つぶししてる風
に見せて診察室を覗きチラチラ動く
俺・・・
親父を心配しているフリ、フリ
そうしながらミクの仕事姿を堪能する。



親父がノッソリ出て来て
「いゃあ〜もっと早く来れば
良かったなぁーハハハハ。
嘘みたいに良くなった〜」


「倉敷さん、まだ麻酔効いて
いますから食事は、30分は
控えてくださいね。」

受付の60位のオバチャンはニッコリ
しながら注意書きの紙を渡して来た。

「ハイハイ、ありがとう。
勝成帰るぞ!」

「もう終わりかよ。」
残念そうに、言った俺に親父は怪しい顔を見せて、

「ここ、美人ばかりだな‼」

地獄耳なのかおばちゃんの耳が
ピクリ

「あ、ハハハハ
勿論おばちゃんもだよ。」

「おば?」
受付のおばちゃんはムカッとした
顔をしてプイツとソッポむいた。

「親父、おばちゃんは❌」


「ああ、しまった ヤバ…
いやいや昔は綺麗だったん
でしょうな﹏ 」

「は?昔?昔って何時の
昔?」

「いやいやその﹏w」

「親父‼ オイコラッ
もう何も言うな‼」
勝成は墓穴を掘りづける父親に
ストップをかけた。

親父も背が高く中々のイケメン
結構モテる58歳
昔は俺と同じ遊んでいたらしいが
母親の俺連れての家出に
反省したが、それからもう1回ある
真面目見せかけ親父の2度目の浮気バレは俺が中学一年の時だった、

長い年月を費やして
母親と又元サヤに収まった
と言う履歴持ち‼。


「ん?なんで?何も言っちゃ
ダメなんだ?」

「何でって、失礼だろ
あ、あは、あんな綺麗な
おばちゃんに・・・

あ‼しまった。」

(▽ω▽)ギラッ「3500円です。」

「は、はいお世話になりました。」
俺と親父は明日の予約を取って
尻尾巻いて退散した。


ホローするつもりが又又墓穴を
掘ってしまった。

俺はオヤジをつつき上げながら
ミクと話をすること無くクリニック
を後にした。

親父はシートベルトをはめながら呟く。
「ハアァァァーツ。
つかれたなー」

「ホントだよ。
親父一言多いんだよ。」

「お前も一言多いんだよ‼」

・・・し━━━━━━ん。


「 お前ソロソロ、嫁さんこないのか?
付き合ってる女はおらんのか?」

親父は俺をチラチラ見ながら
「あんまり、遊んでばかりいると
ろくな事は無いぞ‼」

親父はハァ~と深い
ため息をついた。

「本当にいないのか?」

俺はハッキリと言った。
ここで生ぬるい返事をしたなら
即、行動をモットーにしている親父の事だ即、見合いになりかねない。

《《いない‼未だする気無い》》
俺はハンドルをきりながらニッカ
と笑った。

「そうかフゥ =з
まずは龍成が先だな‼」

「ああ、龍兄はもう35だよな。」

「そうそう
兄貴に頼まれてるんだ
いい子探してくれってな‼」

龍成は親父の兄貴の長男で
グループ会社の専務をしている。

俺の従兄弟だ。

今の親父の会社は、俺が継ぐ事が
決まっているが叔父さんも会社を
経営している。

「いやぁー
さっきの河内さんか、美人だったな、あんな可愛い子から、お義父さんって 呼ばれたら幸せだろうなぁー。」

「あーはいはい
俺と、どうのとか考えてるの?
無理、ぜーったい無理‼」

「いや、お前にはもったいないな。
龍成にどうだろう。」


親父はニタニタしながら
楽しそうだ。

「いいんじゃない!
龍兄もソロソロ決めないと
俺と似てイケメンだから
決まるんじゃない。
稼ぎもいいし。」


家に着くと早速オヤジは叔父さんに電話をしていた。

何とコンモリ盛られたアイス
を電話片手にパクパク🍨🍧

「は‼ 懲りないな‼」
俺は呆れてものが言えない!
子供より悪い‼
子供は言って聞かせれば
多少の我慢は頑張って乗り越える。

然し親父は・・・
言う事を聞かない・・・
60近い父親を躾直すのは無理かも知れない。

それにあの過保護な俺の母親、
甘やかす母親付き、
無理でしょう。ʅ(๑ ᷄ω᷅ )ʃ

人の気も知らないで
大声で、河内さんの自慢をしているそんな可愛い子?.。oO?
いたっけ?

ミクばかり気にしていたからかな?
俺の視界には入って来なかったようだ‼しかし行動派の親父は河内さん?って彼女にも何も知らせず話を進めようとしている。

「親父は何でも即実行だよな。」
俺は母親に呆れながら呟いた。

「よっぽど気に入ったみたいね。
凄い褒めようよ。」

楽しそうな父親を見るのは母親も
嬉しいみたいだ。

呆れながら俺は首を振り、家政婦の百合さんに珈琲を頼んで、ダイニングキッチンに座り新聞を読んでいた。

親父はさっきの、河内さんが成程
母親が言うように余程
気に入ったみたいで声高く会話が
聞こえて来た。


「そーだよ兄貴
美人で可愛くて、思いやりが
あるし いーい子だよ。

俺は気に入った‼」

俺は親父の電話に耳を方向けた。

「あーあ ❌1 らしいけどな‼
旦那の浮気で最近離婚したらしい。
なんか32って言ってたなぁ。」

ᕱ⑅︎ᕱ"「ん、最近離婚?32?」

「大丈夫、俺の目に狂いは無い‼
まだ向こうには何も話してないぞ名前?見に行くつもりか?」

「明日?気が早いな‼
通院で行くから兄貴も
ついてくるか?」

『は、おじさんも好きだなぁ。』

「名前はなぁ、名前も可愛いぞ
河内『ウンウン河内』
ミク‼」

、ミクギェェェェェェェェエエエエ
《《ミク━━━━は、❌ダメだー》》

親父は電話を持ったまま(((;꒪ꈊ꒪;)))
勝成の怒鳴り声とも悲鳴とも言える叫び声にビクッ‼


「な、なんだ勝成‼
ビックリするじゃないかー💢」

「親父ミクばダメだダメダメ
俺のだから💢
俺が狙ってんだぞー
誰が龍兄に渡すかー💢
息子の、狙ってる女を、従兄弟に世話するなんて、なんて
親だ━━━━━━ツ。」
ハァハァハァ

...............はぁー
「勝成! ポロン 口に入れた🍧
アイスを落とし胸がベチャベチャ

「マアマアたいへ〜ん。」
過保護な母親が父親の口をフキフキ
「 お前好きな子いないって言って 無かったッケ?」

それに賛成してたよな‼」

「ミクの旧姓知らんかった
んだよっ‼💢」

「え、あ、あぁあそかそか」

・・・・・・えっ・・と‼
「兄貴話は無しだ‼
よくよく聞けば勝成の彼女になる 予定の子らしい。

スマン。
又、いい子、さがしてみるよ。
ああ、任せとけハハハハ」

「そうしてくれ‼💢」
と勝成は父親のもつ電話に向かって叫んだ。

勝成は、💢ナーニ言ってんだよ‼
みたいな顔をして、父親の勝を
睨みつけた。

もう勝成の怒りは
プンスカプン、プンプンプン