でも彼は恐れていた。
もし今、自分が作っている機械にまで拒絶されてしまったら...。
『こう...なるはずじゃなかった。』
『もう、辛い。』
『誰か...許してくれ。』
『誰か...隣にいてくれ。』
『もう、壊れそうだ。』
毎日彼はそんなことを言って誰かに許しをこうていた。
そんなある日、急に大きな音とともに地響きが彼の家の地下まできた。
まさかと思って地下から出るとそのまさかだった。
一階の彼の腰の辺りから壁がなかった。
いくつかの木の柱が不規則に立っているだけでその他のものは何もなかった。
周りは土煙だらけで、空を見上げると、おそらく青かった空は淡い朱色になっていた。
彼は何も考えられなかった。
自分が白昼夢でも見ているのかと思った。
遠くからは子どものようなかん高い喚き声がこだましていた。
『あぁ...どこから間違えたんだろうか。』
不思議と涙は出なかった。
いや、まだ脳みその情報処理が追いつかなかった。
そこからは夢なのか現実なのか分からない。
ただ情報処理が追いついた時に、僕の手は薄汚いオイルで汚れていた。
そこからは大体のことは把握でした。
僕は自分で作ってきた機械を自ら壊した。
それは今まで自分が信じてきたことを間違っていたと認めたこと。
それは...僕の全てが無駄だったと自分で認めたこと。
僕は壊れた。
いや、元々壊れていたのかもしれない。
『あぁ...くだらない。』
『今までの僕の行いは全て無駄だった。』
『僕の!...俺のせいだ...もう、何もいらない。』
プツンッ...頭の中で何が切れた。
僕の自我がシャットダウンした。
僕が正気に戻るまでは少し、時間がかかった。