僕も人間だった。
それは見た目も、中身も。
どうしてもモネの声を聞きたいと思ってそれ以来から僕はモネに問いかけをするように話を進めている。
でも、モネは口を開かない。
『ある少年は昔から機械が好きで、毎日ずっと機械をいじってたんだ』
『その子からしたらきっと機械が友達だったんだろうね』
『でも少年はある日気がついた』
『もう、周りの人が少年を見てくれてないということに』
『少年は孤独そのものになっていたんだ』
『モネは孤独になったらなんて思うかな?』
『・・・』
『少年はどんな行動をとったと思う?』
『・・・』
『少年はね...』
少年はそれでも変わらずにずっと機械をいじってたんだ。
たとえ家族さえも失ってもずっと。
少年はきっと向き合いたくなかったんだ。
自分が孤独であると、寂しいのだと思いたくなかったんだ。
そのせいか日に日に機械をいじる時間が増えていった。
少年はくだらない人間に時間を消費したくないから機械をいじるんだと自分に言い聞かせた。
でも...きっと少年は、周りに認めてもらうために機械を作りたかったんだ。
けれど何も変わらなかった。
大人になってどんな仕事が舞い込んできただろうか。
彼は人間に認めてもらうために、人間を殺すための機械を作るようになってしまった。
そう、自分の利益しか考えない奴らの戦争に協力してしまったんだ。
でも彼は作り続けた。
この戦争に勝てばみんなが僕を賞賛するだろう。
そうすれば僕は独りではなくなる。
でも彼がこの考え方が間違っていたと気づいた時にはもう...遅かった。
彼は絶望し、心の底から死にたいと思った。
今すぐ逃げたいと思ったんだ。
でも結局彼は自ら死ぬことが出来なかった。
怖くなっていた。
死ぬときの痛み、苦しみを味わいたくなかった。
今まで自分が散々人間を殺める機械を作ってきたのに...。
そしてまた彼は機械を作り始めた。
でも今度は自分の痛みを和らげてくれる自分だけの機械だ。
はじめからずっと自分のことしか考えていなかったようだ。