蜃気楼のように、


消えては生まれる涙海の楽園。




それはまるで虚像のようで、


恒久的な実体に過ぎない。




嵐に呑まれて、


プリズムの光から生まれる地。




青い涙の雨がこの世にふり注ぐ限り、


空も海も青であり続けるという。




永遠の楽園はどこにあるだろうと、


涙海のその先へ思いを巡らす。




永遠の楽園。


それは、カーマン・ラインを


越えた場所にある?




それとも地図にない、


ずっと遠くの、人の手の届かぬ場所?




それは、望遠鏡にも映らない、


果てしない世界での話?




それは、きっと誰も知らないこと。




誰も教えてはくれない。


そう。ロゴス(=言葉)の賢者でさえも。




心細い、渡り鳥のような旅は終わりがない。




今日も、誰かが


涙海を渡っていくのを眺めている。




光と波の踊る中を、風に導かれて。