『ありがとうございました』


帰り道に一人、何度も何度も呟いた。


なんとかやっていけそうな気持ちがした。


楽しいことがこれからもたくさんあるような気持ちがした。


あの素敵な言葉は、お腹の子供を産んで10年以上経った今でも忘れない。


わたしが『医療・福祉』の仕事をしたいと決めた、出会い・出来事だった。


おじいちゃんドクターは、わたしのお腹の子供が産まれる前に亡くなった。


産まれた赤ちゃんの顔を見せたかったと、今でも思う。