☆☆☆


あれから1年。


私は中3になった。


「眞子ー、出るわよ!早く準備してー」


「はぁーい」


お父さんの仕事の都合で引越しすることになったのだ。


この家で過ごすのも最後。


よし、全部持った。


「あっ!」


階段を降りていた途中で大切なことを思い出した。


「忘れてた、やばっ」


机の隅に置いてあった、写真立てに入った美琴の写真を手に取る。


「眞子!置いていくよっ!」


「ごめーん!すぐ降りる!」


引越しといっても同じ県内の町に引越すだけだから、大した話でもない。


おばあちゃん家の近くで、幼なじみのいる学校に行くので、あまり心配はしていない。


「ごめん、美琴の写真取りに戻ってた」


「そんな大切なもの忘れてたの?もう本当ドジなんだから!」


「ごめんって〜」


私もお母さんも元気を取り戻してきた。