お父さんが病室に見当たらないのだ。


ガラッ


「「お父さん」」


「な、なんだよ。2人揃って」


「どこ行ってたの?」


「トイレだけど」


なんだ。


なんとなく逃げたのかと思ってた。


「美琴、家に連れて帰ることにしたわ」


「そうか。もう終わりなんだな…」


お父さんも先生もさっきから変なことばっかり言ってる。


コンコンコン。


不意にドアがノックされた。


「はい」


「美琴〜元気?」


病室に入ってきたのは、美琴の友達と思われる人だった。


「あらお見舞いに来てくれたの?ところであなたの名前は?」


「あれ、美琴から聞いてないですか?私は “中本璃子” って言います」


…?!


心臓が跳ねたのが自分でも分かった。


「いつも美琴と仲良くしてくれてありがとね」


「いえ、美琴と一緒にいると楽しいので!こちらこそありがとうございます」