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美琴の容態が急変したのは次の日だった。


「美琴ちゃーん?聞こえてたら指を握ってね〜」


「反応がないです!先生を読んできて!」


美琴の病室には看護師さんが慌ただしく出入りし、騒がしかった。


「少しお話よろしいですか」


白衣を着た背の高い先生と見られる人が私たちの前に立った。


「…なんですか?」


「娘さんの最期についてです。病院で看取られる方もおられますし、今の美琴さんの状態だと、家に連れて帰られることも可能ですけど」


…最期?


なんの最期だって?


看取る…?


「美琴は家に連れて帰ります」


「お母さん」


「分かりました。車等はこちらで準備させていただくので、明日またお話に来ます」


先生は軽くお辞儀をして見えなくなった。


さっきまで慌ただしかった病室はいつの間にか静かになっていた。


「あれ、お父さんは?」