「弱々しいね、どうしちゃったの?」


「べ、別に、俺は全力で投げたんだよ!」


確かに変だ。


細野は思いっきり腕を振って私にボールを投げたのに、細野から放たれたボールは力を持ってなかった。


さっきも大宮さんが投げた時、力を抜いているようには見えなかった。


私はこんなにドッジボールが上手な方ではなかった。


どちらかというと、内野にいけばすぐ当たって外野にいくし、外野になれば、ゲームが終わるまでずっと外野のような下手な方だった。


なのに、今日だけ、ボールを何人もの人に当てられるだけの速さと力がある。


まさか、眞子ちゃんが私を生き残らさせようとでもしてる…?


そんなわけない。


威張ることでもないが、眞子ちゃんに何かいいことをした覚えはない。


「林原…?」


ふと我に返ると、細野が身構えていた。


「あぁ、」


「ギャ!」


ボールは細野に当たった。