見下ろしてみると、ほとんど空になったプラスチック容器とスカートから滴るカフェオレが見えた。


「あっ…」


眞子の顔は青ざめてごめんなさいごめんなさいと小さく繰り返している。


「いいよっ、そんなに謝らなくても」


「聡美は優しすぎるんだよ、こいつ本読みながら歩いてて、ぶつかったんだよ？」


かと言ってそんなに怒らなくても…


「いいよ、でも今度からは気をつけてね。それより行きたいところがあったんじゃないの？早く行かないといけないんじゃない？？」


眞子は園子に檄を飛ばされている間も、ソワソワしていて、誰かを探しているような、焦っているような顔をしていた。


「あ、ありがとう…また明日」


少し震えた声でそう言った眞子はすぐに走っていき、見えなくなった。


「なんなのあいつ！腹立つ！」


園子はまだ怒りが収まらない様子。


「私、許さない。…あいつのこと明日からいじめちゃおうよ」


はっ？！


なんで、なんでそんなことになるの？！