凛華の手からボールが消えたかと思うと、そのボールは放心状態の相手チームのコートに投げ入れられた。


「うわっ!」


「キャァ!」


ボールは花音から近い場所にいた3人に当たって止まった。


「…え、当たった…?」


「ヤダヤダヤダヤダァァァァァ!!!」


「死にたくないぃー!!!」


ボールは野口真未(のぐちまみ)吉岡園子(よしおかそのこ)米山聡美(よねやまさとみ)に当たったらしい。


真未の高い声と聡美のドスの効いた低い声が体育館に響く。


体育館はボールの当たった3人を目前にして、騒然としている。


願いとは裏腹に、3人とも誰かに押されたように仰向けに倒れた。


必死に叫んでいて、その顔は青ざめている。


「…起き上がれないの?」


凛華が蚊の鳴くような声で呟く。


「そうなんじゃない、だって…」


…私だったら逃げ出してるよ、と言いかけた時。