その少女は…瀬川眞子(せがわまこ)


中2の時に滝沢さんのいじめで自殺した、千夏の友達だ。


「まっ、眞子?!」


今までコートの隅で震えていた千夏ちゃんが驚いた声をあげる。


『矢口壮真、村上華、消去されました』


「ちょっと!華は何も悪いことしてないじゃない?!」


『…』


スピーカーからは何も発せられない。


「眞子は…クラスメイトを全員殺そうとしてる。死を避けるためには、眞子を…殺すしかない」


こ、殺す…?


「木村くん?!眞子を殺すなんて、変なこと言わないでよ!」


千夏ちゃんが叫ぶ。


「だってそうだろ、この学校は校門しか出れるところがないんだ。その校門に殺人鬼が立ってちゃ、誰も助からない」


かと言って殺さなくても…。


そう思った私の気持ちを読んだかのように、木村くんがこっちを向く。


「殺さなくてもと思っただろ?じゃあ他にどんな方法で助かるっていうんだよ、誰か囮にでもなるか?!」