水族館を半分くらい回ると、セイウチやペンギンを見ることが出来る場所に来た。そこには、魚を捕まえることが出来るコーナーがある。
「よーし。捕まえるぞ!」
服をまくって、私は水槽の水に手を突っ込んだ。私の隣に並んだ海斗も、水に手を入れる。
「……」
泳ぐ魚が私の近くに来たタイミングで……。
「捕まえた~!」
私は両手で捕まえた魚を、嬉しさのあまり水から出してしまった。
「おい、こら!早く戻せ!!」
海斗に怒られて、私は慌てて魚を水槽に戻す。魚は、慌てるようにどこかへと泳いでいった。
「気を付けろよ……?」
海斗が呆れたような顔で、私を見る。私は、「はーい!」と笑った。
魚を捕まえるのを楽しんだ後、手を洗ってからセイウチのいる水槽にやって来た。
「……澪みたい」
セイウチを眺めていた海斗は、そう呟く。
「それ、どういうこと!?」
「あ、聞こえてた?何だか澪にそっくりだなって」
「そう思う理由を教えて!」
「嫌だね!」
「教えなさい!!」
「絶対に無理!」
そう言って、海斗は走り出す。私は「待ちなさい!」と海斗を追いかけた。
「君たち!館内では走らない!!」
案の定、私たちは飼育員さんに怒られたのだった。



