僕らのワンシーン


 俺の心臓の音が、首に顔を埋めた彼に聞こえていないか心配になった。

 いや、いっそ聞こえてしまっても構わない。

 俺がこんなにドキドキしているんだと、彼に気付かれたい。

 そう思った俺は、彼の居場所のない手を持ち上げて左胸を触れるように誘導した。

 彼は忙しない鼓動に驚いて、俺の目を見つめた。