『待ってろ』なんて
動けないのだからそうする事しか出来ない。
何度も深呼吸をし気持ちを落ち着かせていると
然さんがまた戻ってきて…
「俺に任せて。
大丈夫だから」
「え…ーーー」
ゆっくりと右手を引かれ
一歩ずつ前に進む足。
幾つものライトに囲まれた
白いシートのような場所へと到着すると
正面でカメラが待ち構えている。
「肩の力を抜いて、深呼吸して?」
「う、うん…」
『ふぅー…』と息を吐き
リラックスを心掛けているけれど
どこを見たらいいのか俯き加減になってしまう。
「由凪さん
俺を見て―――」
然さんは向き合う形で私の前に立ち
優しく名前を呼びながら
そっと頬に手を添えてくれて
不思議と自然に顔は上を向き
視線は彼の目を見つめる。
まるで魔法に掛かったみたい…
シャッターの音が、耳に
フラッシュの光が視界に入るのに
彼を見ていると撮られている事を一瞬忘れる。
緊張が解れる気がしてくる――
「少し落ち着いた?」
ライトに照らされる彼は
“プロの顔”だ。



