「別れてからも
やっぱり線引きが出来ていないと言うか
彼女は今でも俺と仕事をしたいみたいだけど
そこに私情が挟むのは勘弁してもらいたくてね」
「私情…?」
「仕事は仕事。
そこに恋愛は持ち込まない。
公私混同するのであれば
俺はその関係を断ち切る」
真剣な目で私を見ながら
ハッキリと口にする拒絶の言葉。
私には知らない業界の話。
だから言ってる意味の全貌は正直わからない。
もちろん別れた理由も知らないし
聞くつもりもない。
けれどきっと
彼は美南さんと付き合っていく中で
たくさんの葛藤があったのだろう。
昨日言ってた『仕事と恋愛は別だから』
それは彼が仕事に対して実直だから。
だから彼女を起用しなかった。
なんと言ったらいいか難しいけれど
そこまで割り切れる然さんも、凄い。
起業する人の考え方って
そんなに徹底しているんだ―――
「余計な話をしてごめんね?
仕事を始めようか」
ノートパソコンをテーブルに開き
仕事の説明を始める然さん。
私はそれを複雑な気持ちで聞いていた。



