後味の悪さに気まずさだけが残ったまま
然さんと共にエレベーターに乗り込んだ。
「さっきの方
怒っているように見えましたけど…」
動き始めた庫内。
お互い扉の方を向いたまま
私は彼の顔を見ずに遠まわしに切り出した。
「怒ってる?何で?」
知ってか知らないか
涼しい顔して明らかな嘘をつく然さん。
「何でって…理由は知りませんよ。
だけど見ればわかります。
『私がやる』って言い掛けてたみたいだし。
本当はこの仕事は美南さんがやる予定だったんじゃないんです?」
真意を聞きたくて私は彼の方に顔を向けたけれど
当の本人は他人事のように表示板を見つめたまま
こちらを見る様子がない。
答えられないのか
答えたくないのか
何を考えているの?この人は。
「俺と美南の関係って知ってる?」
突然、まったく違う質問を返されてしまい
『聞いてるのは私の方なのに』と心の声を呑み込んで少し考え…
「さぁ…?
ネットじゃ”恋人関係”って見ましたけど」
当たり障りなく返してみた。



