なんなら6階に来たのだって
彼女に便乗しただけ。
なんて本当の事を言ったらきっと
不信感いっぱいに怪しまれるでしょ。
「そうだ。
まだ私の自己紹介してなかったですよね」
そう言ってマスクを外した彼女の顔を見て
すぐにピンときた。
「美南です。
宜しくお願いしますね」
控えめに淑やかな笑顔で改めて挨拶をする彼女に
私も自分を名乗って返した。
彼女は25歳の大人気モデル。
本名なのか芸名なのかは非公開。
然さん同様、学生時代から読者モデルをし
彼とずっと仕事してきている人。
年齢も同じくらいで仲が良く
熱愛報道もあったりなかったりだとか。
だから親しく感じたんだろう。
「ねぇ、然。
《《例》》のモデルの話なんだけどね?
私がーーー」
「その事だけど。」
美南さんが言い終える前に
まるで彼女に最後まで言わせないようにか
然さんは途中で遮って止めてしまった。
「悪いけど
モデルをしてもらう相手は決まったから。」
「え…?」
「ここにいる由凪さんに、ね?」
私の肩をポンと叩く然さんの
不敵なウィンク。



