新人スタッフと認識されたらしく
とても丁寧に説明してくれる彼女。

今の私にとっては
それは心強い救世主(ヒーロー)に感じる。


そんな救世主についていくと
少し離れた先の部屋から出てきた人物に
私も、そして彼女もハッと気が付き
先に声を掛けたのは―――

「然ッ!」

彼女だった。

小走りに彼の元へと走っていく後ろ姿を
私はその場で立ち止まり見送る状態に。

下の名前で呼ぶほど親しい関係なんだろうな。
2人とも年齢も同じくらいに見えるし
仲良くて当然か。

ニコニコと話す2人を見ていたけど
邪魔をするのは野暮ってもの。
この場を去ろうとするも…

「由凪さんも来てたんだ」

彼女と共にこちらに向かって歩いてくる然さん。
『いつの間に知り合ったの?』と私と彼女を交互に見ている。

「この新人さんが迷っていたみたいだから
 案内してあげようかと思ってね」

「迷ったって
 どこか行こうとしてたの?」

こっちを見ながら核心に触れてくるから
『ちょっと散歩を…』なんて苦笑いしながら誤魔化してしまう。