ここにいるのは彼女と私だけなのだから当たり前か。

「見覚えのない顔ですが
 新しいスタッフの方?」

キョトンとしているところを見ると
本当にそう見えているのだろう。

「スタッフ…」

一見(いっけん)して
他人からすればそう見えても当然だし
なんだか『モデルです』とも言いづらい。

だから私は
それとない答え方しか出来ない。

「そんな感じ…ですかね、あはは」

言いながら現実を痛感させられる。
パッと見て”華”がなければ
モデルなんて無理なんだよなって。

「着きましたよ」

『先にどうぞ』なんて言って
開いた扉を閉まらないように止めてくれる彼女に
お礼を言いつつ出てみたけれど…

ここがどこなのかがわからない。

右、左と行先を考えて首を振っていた私に
あとに出てきた彼女も心配してくれたらしく。

「困っているのであれば
 案内しましょうか?」

と、優しく声を掛けてくれた。

「それは助かります」

なんて甘えてしまい
優しさで出来てる彼女の神対応を
素直に受け入れてついていく事に―――