”ちゃんと知りたい”
その思いは然さんにも伝わったらしく
さっきまでとは違い、真剣な顔つきへと変わる。

「別に責任がどうとかってのは考えてないよ。
 あくまで仕事に関して
 手助けしたいと思っているだけだし…」

「そう…ですか」

「だけど…」

彼は言い掛けると
また《《間》》を空け
今度は少し言いづらそうに口を開く。

「俺、たぶん
 由凪さんが好き」

「え…」

「一目惚れ…なんだよね。
 でも仕事と恋愛は別だから。」

突然の告白。それなのに
ドキドキするような甘いものとは、何かが違う。

少し寂しそうな彼の表情が
そう感じさせている。

「ほら、恋愛って意外と面倒だし難しいしさ。
 俺、もう無理なんだよね…そういう関係」

初めて見た苦笑いする然さん。
曖昧だけど彼なりに必死に答えているんだろう。

「わかりました…」

正直、恋愛経験の少ない私にはわからない。
好きって思われてキスされて
なのに恋愛は無理って、なに?

1つだけわかるのは
私はこの人に、弄ばれているだけって事。




         【仕事と恋は別物 終】