私は自分の耳を疑った。
それに加えて
もう何度目かの衝撃を受けっぱなしだ。

「”俺のマンション”って
 貴方まさか…そんな事…」

「彼氏がいて同棲でもしてるなら別だけど
 由凪さん、自宅までの距離が遠すぎ。
 俺のマンションなら会社から近いし
 こっちとしても交通費が浮かせられて一石二鳥なんだけど」

そう言って彼は
現住所の記載欄がある書類の1枚を指さしながら話す。

「確かに家から遠いから通勤は大変だし
 引っ越しも考えてはいますけど…」

一緒に住むなんて
そんなの無理に決まっている。
付き合っているワケでもないのにッ

「で、ですがッ」

「それなら決定だね。
 俺の名前だけど隣の部屋を使えばいいよ」

「…へ?」

言い掛けて遮られた発言に
間抜けな声が出てしまった。

隣の部屋…?
今の話だと、私は一緒に住むとかではないと…?
つまり私の…思い込み?

「ん?どうしたの?
 もしかして俺と同棲すると思った?」

思っていた声が私の表情に表れていたのだろうか。
鼻で笑われてしまった。