「目が覚めたのなら話は別。
 もう我慢するの、無理だなーーーー」

「えッ……んッ!?」

驚いたのも束の間。
突然、彼の口によって塞がれた唇。

優しい中に強引さを兼ね備えたキスに
どう言ったらいいのか
思考が溶けていく感覚に陥る。

「んッ…んぁッ」

一瞬、離れた隙の息継ぎも
強制的にすぐにまた塞がれてしまう。

部屋に響くリップ音に
呼吸で伝わる彼の体温。

「良い声。
 嫌がると思ったけど意外と素直。
 抵抗しないんだ」

唇を離したかと思ったら
私を見下ろしながら悪魔のような微笑みで
くすりと鼻で笑った。

「抵抗させないようにしたのは
 貴方でしょ…」

「あー…確かに。
 だって自分のベッドに綺麗な人が寝ていたら
 襲いたくもなっちゃうじゃん?」

『なっちゃうじゃん?』じゃない。
子犬みたいに可愛く首を傾げられても困る。

「なんでこんな事…」

「今の俺は“(おとこ)”だから。」

「…はい?」

乗られたままの体勢で
思わず聞き返してしまった。

オトコって。
じゃぁ普段は何なんですかって話だ。