夜景の綺麗なレストランで
並ぶ前菜と赤ワイン。
高価な夕飯、じゃなくてディナーに
圧倒されてしまう。
「由凪さんの
イメチェン成功祝いに…」
彼は胸の高さにグラスを持ち上げて言うから
私も自然とグラスを胸の位置まで上げて応えてしまう。
「「乾杯」」
…なんとオシャレで優雅なディナーなんだろう。
恋人や好きな人にこんな事をされてしまえば
女性はイチコロだよ。
まぁ、私にその経験はないんだけどさ。
「それで?」
「…?」
ワインを舌鼓していた私だったが
主語のない突然の質問に
飲む手を止めて首を傾げた。
「モデルの仕事の件。
どう?引き受けてくれる気になった?」
彼はグラスを回して味を堪能しつつ
ニコリと笑顔を向けてくる。
「えっと…」
まずい…すっぽりと頭から抜けていた。
大事な話なのに忘れていたなんて…
(言えないな)
優雅に楽しんでいる場合じゃない。
誘われた流れでここまで付き合ってしまったけれど、『何も考えていませんでした』は社会人として通らないよ。



