カルテから今度は私に目を移し
椅子の背もたれに手を乗せて答えた。
「誰が聞いたって気分が良いものじゃない。
それにあの発言
由凪さんを気に入ったっていう俺を否定しているのと一緒。
本当、見る目がない人に言われたくないね」
「そ、そうですか…」
私にはちょっと理解出来ないのだけれど
そういうものなのだろうか。
「それに俺が見たいし。
由凪さんの本来の顔を。」
「か…お?」
「眼鏡と前髪で見えないから。
ちゃんと見せて欲しいです」
ニコッと笑う笑顔と
色気漂う彼の視線を鏡越しに感じ
ドキッとして目を逸らす私に。
「せっかく本質が良いんだから顔を上げて。
もっと自信持ちな」
顔を近づけ甘く囁き掛けるように声を掛けてきて
心拍数が上がるばかり。
これじゃダメ。
最初の彼の言葉を忘れちゃいけない。
言葉巧みに誘導して
騙されている気がする。
「ままままま待ってください!」
動揺が声になってるけど今はそれどころじゃなく
ぐるんと首を彼の方に向け
鏡越しじゃなく直接 目を見る。



