『これからもお願いします』の意味を込めてニコリと笑うと
照れた表情で彼も手を握り返してくれて…

「えッ!?」

突然に自分の方へと引っ張られて
抱き寄せられてしまった。

「ぜ、然さんッ!?」

背中と後頭部に手をまわし
何も言わず抱きしめる腕に力が入っていく。

「ど、どうしたの…急に…」

たじろぐ私の背中から
ようやく彼の声が聞こえてきた。

「ずっとこうしたかった。
 だからまだもう少しチャージさせて…」

然さんにしては珍しく
まるで甘えん坊の年下君の可愛いワガママに
私は思わずクスリと笑ってしまったけれど
『いいよ』って彼の背中をポンポンとあやすように触れてみる。

気が済んだのか離れてくれた然さんと目を合わせて
お互い照れ笑いしてしまったけれど。

「俺のマンションに帰ろうか」

「そうだね。
 また部屋を貸してね」

「一緒に住むなら問題ナシだよ」

手を繋いで
私達は誰もいなくなった駅のホームを後にした――――


                   

                                        【完】