そっか…
彼はまだまだ、これからなんだ。

若くして会社を作って
その為に犠牲とか覚悟とかいろんな事をたくさん考えて
独りで走ってきた人。

そしてこれからも
苦悩や挫折と隣り合わせで築き上げていく。

そんな人が迷って当然。
困って当たり前。
そうやって成長していくんだから。

5つも年上の私が気付かされるなんて少し恥ずかしいけれど
私自身も、ちゃんと大人になった気がする。

この人のおかげで――――

「然さん。
 私も貴方と同じで、まだまだです。
 知らない事もたくさんあるし
 モデルの仕事みたいに初めての事だって多い。
 それでも、その世界を見せてくれた然さんのおかげで
 陰から抜け出して空を見上げて笑えてる。
 誰かに出会い新しい自分を見つけて成長する事って
 とても楽しいんだって教えてもらった」

「由凪さん…」

「今度は私が、然さんのこれからの未来を
 一緒に守って、笑顔を増やしていきたいと思います」

私も彼へと近付き
スッと手を差し出して握手を求めた。

「私も大好きです、然さん」

と伝えて―――