しかしそれが無理だと判断した上層部側から
最終兵器として持ち込まれたのが
元のデザインの修正。
それをオリジナルとして売り出すだけじゃなく
”盗作された側”と世の中に名を知らせる事により
同情を買おうという根端だった。

見事に桐生さんの読みが当たった結果になったのだ。

「ほらね、俺の言った通り。
 思ったより早く解決したね」

「そうだな…
 俺は結構ビックリしてるけど。」

あれだけ悩んでいた事が1日で解決してしまった。
その背景にはデザイナーとしてのプライドを傷つけてしまった自分への、戒めでもあったのかもしれない。

「さて。
 ニュースにもなっちゃったし
 これから大変だな、然」

「本当そう思うよ。
 もう眠れない日々は懲り懲りなのに」

溜め息交じりに困惑する然さんだけど
私の知ってるいつもの穏やかな姿。

ホッと胸を撫でおろす他のメンバーと
その中でも泣きながら安堵しているデザイナーの女性。

まだ後始末が色々ある中だけど
とりあえず然さんの会社が無くならなくて良かった。