挨拶もせずに然さんの部屋を飛び出し
泣き崩れ、目を真っ赤にしながら
そんな姿で会社に戻ってしまった私は…
「由凪さん、どうしたの?その目。
真っ赤だけど、もしかして…」
「あはは・・・」
あっという間に桐生さんにバレてしまった。
「然と何かあったんだね」
「それは…」
何かあった。というより
正確には“何もなかった”
終わってしまったんだけど
この人には言いづらい。
「そ、それより。
盗作の件は何か進展あった?」
強引に話を逸らせ意識をそちらに向かせてみたけれど、誤魔化し方が下手だったらしく彼は『怪しい』と言わんばかりに目を細めて私を見ている。
あー…やっぱダメかな
「いいよ、聞かないよ」
「え…私まだ何も言ってないけど…」
「だって『言いたくない』って顔してるもん。
ムリヤリ聞いたら最低じゃん、俺。」
私の気持ちなどバレバレだけど
気遣ってくれているのは彼の優しさだと思う。
「盗作事件についてだけど
1つだけわかった事があるんだ」
何事もなかったように話題を変えてくれた。



