どんな理由であっても
休んで貰えればそれでいい。
「マンションまで…送りましょうか」
「…ありがとう」
嫌がられるかと思ったけど
余程、具合が悪いためか承諾してくれた。
「あ〜由凪さん、ちょい待って。
然に伝える事があるから」
然さんに付き添いながら事務所を出ようとすると、入り口に立っていた桐生さんに話掛けられた。
「こっちは俺に任せな。
ちょっと相手側の会社について
気になる事があるから調べてみる」
「気になる事…?」
「まッ、そういう事だから
お前は気にせず寝ろ!」
「いや無理でしょ」
ウィンクしながら“グッ”と親指を立てて中途半端なフォローする桐生さんに、然さんのツッコミが入った。
そうなるよね。
逆に気になるって。
しかし今後の事は
しばらく桐生さんに任せる事にーーーー
「…眠。」
乗り込んだエレベーターが動き始めると
ようやく自分に置かれている状況を自覚したのか
気怠そうに壁に体を預けて
寄り掛かりながら出た言葉は本音だろう。