そして然さん本人も…

「…ッ」

「然さんッ!?」

説明を終えた後
眩暈を起こしグラっと傾く体。
机に手をついて倒れるのを免れたけれど
立っているのも限界そう。

「ごめん…
 大丈夫だから続けて…」

大丈夫なワケ…ないじゃん。

痛む頭を押さえながら誤魔化そうとしているけれど、とてもそんな風には見えない。

「…然さん、今日はもう帰ろ?」

黙って見守ろうと決めていたのに
私は口を出してしまった。

「そうもいかない。
 せっかく皆で頑張ってきたものが
 失ってしまうかもしれないんだ」

少し苦しそうな表情で頑なに抵抗し続ける彼の
悲痛な思いが伝わってくる。
それはここにいる人達も同じみたいで
みんな暗い顔をしている。

だけどやっぱりこのままじゃダメだと思う。

「お願い、然さん…
 もう…休んでください。
 ここにいる、みなさんの為にも。」

この前のように怒られるかもしれないと思ったけど、今回は“皆のために”って言葉のおかげで
彼は一言だけ『わかった』と素直に応じてくれた。