もちろん私の勝手な憶測に過ぎないのだけど。
でも…
「知らない事を教えてもらえたから
聞けて良かった。
ありがとう」
また1つ、然さんを知れた。
それは私も嬉しい。
桐生さんに軽く頭を下げると
彼はさすがに何の話かわかったらしく
気まずそうに頬をポリポリ掻きながら
何も答えず私に背を向けて歩き始めてしまった。
本人を目の前にしているんだから
それもそうよね。
「由凪さん、新多と何か話したの?」
どうやら然さんは
自分の事だとは気付いていないみたい。
「そう、ね。
ちょっと話だけはね」
「ふーん…
恋バナ?」
「こ、恋バナ!?」
然さんの口からそんなワードが飛び出すとは思いもしなかったから
驚いてしまった。
「“彼”って聞こえたけど
まさかアイツ・・・ゲイなの?」
「え。」
明らかな勘違いだけど
真顔で言ってるあたり
これはたぶん本気で思ってる。
でもどう説明したらいいんだろう…
『然さんの話をしてました』と言ったところで
今の彼には『俺が恋の相手なのか…』と
むしろ、ややこしくなる恐れがある。



