溺愛プロデュース〜年下彼の誘惑〜


真剣な表情の然さんの圧に押される形で
桐生さんは困惑しながら口を開いた。

「そ、そうだよな。
 然がいれば大丈夫か!
 俺より安心だしッ
 なので大人しく帰るとしよう!
 襲い掛けてごめん」

敬礼ポーズをし私にも一言謝罪。

去り際に『んじゃ、また仕事で』と
駅へと歩き始める彼に、私は伝えたい事があって。

「あのッ!桐生さん!」

「え?」

慌てて呼び止めると
桐生さんは少しビックリしたように振り返り
立ち止まってくれた。

「さっきの話だけど
 彼が穏やかに笑っているのは
 貴方のおかげだからだと思う」

「由凪さん…?」

何の事を言っているのか
イマイチわかっていない様子の桐生さん。
首を傾げて考えている。

いきなり言われたらそうなるのは仕方ない。
それでも続けた。

「貴方といると
 彼は自然体でいるような気がする。
 それくらい楽しそうに見えたから…」

然さんがどれほど苦労したかは
出会って間もない私にはわからない。
だけどそれを1番近くで支えたのは桐生さんだから
彼はいろんな表情が出来るようになったんだと思う。