怒っているというより完全に呆れた様子の然さん。
『まったく…』と溜め息を零しながらも
桐生さんにハンカチを手渡している。
拭くなら初めからそんな事をしなくて良かったのでは?
そしてたぶんその量だと
ハンカチ1枚じゃ足りない気が…。
「そういえば然はどうしてここにいるんだよ。
会社に戻ったんじゃなかったっけ?」
借りたハンカチで水滴を拭きながら質問する彼。
疑問を抱いていたのは私だけじゃなかったんだ。
「会社には行ったさ。ここから近いし。
だけどどうにもお前に任せたのが心配になって、家で仕事しようと思って戻ってきたんだ」
片方の手に持っているPCバッグ。
然さん、もしかしてずっと私を気に掛けてくれていた?
だから探してに来てくれたんじゃ…
「然の読み通りだったってわけか」
「残念ながらそういう事。
まさか本当に手を出すとは。
悪いけど、由凪さんは俺が送っていくから」
ハッキリとは言わなかったけど
言いたい事は桐生さんはわかったみたい。



