18話「三角の約束」




 ゆっくりとした穏やかな時間だった。
 宮が作った料理を温めて、2人でテレビを見ながら、無言のまま時間をかけて食べた。
 どんな話をすればいいのか迷っていたが、虹雫も何もしゃべらずにボーっとテレビの映像を眺めていたので、宮はそれを見つめる事しか出来なかった。


 見え隠れする虹雫の腕は少し赤くなったままだ。
 きっと彼女は自分の肌をタオルで強くこすったのだろう。犯人の男に触られたのを思い出し、そして汚れてしまったと虹雫は思っているはずだ。けれど、虹雫は男に写真を撮られただけのはずだ。けれど、虹雫はそれさえも大きく傷ついていたのだろう。それは、当たり前の話だ。薬で意識が朦朧となった所を縛られて、下着姿になったのだ。そして脅されて物語を盗られてしまった。そんな愚かな男に、少しでも触られたのが、許せなかったはずだ。

 けれど、そんな男に触れらた事で、虹雫が汚れたわけではない。
 その汚れを落とそうと、ゴシゴシとこすってしまったのだろう。

 宮は、虹雫にその事を伝えようとした。


 「虹雫、昨日の事だけど……」
 「宮、私、2人に話したいことがあるの」
 「え……」