「……俺もあの本を読んだ。もちろん、映画のオファーがくる前に。本当に悔しかった……。そして、あんなにすごい物語なのに……」
 「だから、やっぱり忘れちゃいけなかったんだ。虹雫が忘れたかったかもしれない。けど、俺たちはやることがあったんだ」
 「そうだな。俺達は約束したしな。……そうでなくても、虹雫を守らなきゃって思ってるけど」
 「そうだな」


 2人は今まで忘れた、という事になっていた過去を再確認するために、話し始めた。
 それは、虹雫の心を守るため、幼馴染みの秘密として禁止にしてきた過去。
 他の人間にとっては大したことがない事かもしれない。けれど、まだ大人になりきれていない子どもだった3人にとって大きな事件だった。

 苦しい過去を笑って話せるようになるためには、解決しなければいけない。
 宮の剣杜は、苦くい昔の記憶を遡る事にした。