2人の幼馴染である美作虹雫。
 自分でも実感するほどの敏感な部分がある。それは、他人の気持ちを深く理解しようと考え込んでしまう癖だ。今自分が言った事は、相手はどう思っただろうか、この仕事で失敗しないだろうか。そんな繊細な部分があるのだ。そのため、人混みが苦手だったり、静かな空間が好きだった。そのため虹雫は図書館司書という職種に就いた。体調を崩すこともあったが、自分が好きでもある本に囲まれて、落ち着いた雰囲気で仕事が出来る司書が、虹雫は気に入っていた。
 この仕事を進めてくれたのも、宮と剣杜だった。
 自分の事のように考えてくれる2人の幼馴染。
 甘えすぎないようにしているが、どうしても2人に会いたいと思ってしまうのだ。
 繊細な部分を理解してくれる2人。そして、ずっと昔からの馴染みという関係はとても心地がいい。だから、こうやって頻繁に会ってしまうのだ。
 けれど、宮と剣杜もこの居場所を大切にしてくれるのもわかる。だからいこそ、定期的に会いたくもなるのだ。


 そして、もう1つ理由がある。

 虹雫は、宮の事が好きだった。
 長い間、片思いをしている相手。彼に少しでも長い時間一緒に居たいと思ってしまうのだ。
 こうやって、肩が触れ合うぐらいの距離。幼馴染なのだから、そんな場面はいくらでもあるはずだが、何年経ってもドキドキしてしまう。
 虹雫は顔が赤くなりそうになるのがわかり、急いでワインを一気に飲み干した。