「あの、宮?そのダメだった?」
 「ダメじゃないよ。俺も一緒に寝たい」
 「そ、そっか。よかった……」
 「じゃあ、今度のデートでパジャマでも買いに行こうか」
 「え………」


 宮の提案に虹雫は珍しく、迷っている。
 喜んでくれると思ったので、宮は彼女の気持ちがわからずに「あれ?いやだった?」と、素で質問をしてしまう。と、虹雫は先程よりも顔を赤くしながら、宮の胸に顔を埋めた。


 「しばらくの間でいいから、宮の洋服着たい、です」
 「そんなのお安い御用、ですよ……」
 

 不意打ちすぎた。

 まさか、そんなにも可愛い事を言ってくれるとは思わず、たじろいでしまった。
 お互いに敬語になってしまったのに気づき、2人は目を合わせ、そして同時にクスクスと笑った。
 それが合図となり、自然と顔を近づけて小さなキスをする。
 恋人の朝の挨拶を見習うでもない、自然に求め合うキス。

 そんな穏やかな朝がこれからも続けばいいのに、と宮は心から思ったのだった。