10話「昔とは違う」




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 「どうして早くに起こしてくれなかったのー?」
 「ごめん。虹雫が疲れてるみたいだったから」
 「宮まで来てるなら起こして欲しかったよー!せっかくの食事会なのに……」
 「ピザもお前の好きなもの頼んで、今来たところだから」
 「んー……準備も終わってるし」
 「宅飲みの時は虹雫がいつもやってくれてるんだ。今回はいいだろ」
 「……食べたかったサラダもフルーツもあるし……完璧すぎて何か悔しい」


 そう小さく呟くと、2人は顔を見合わせて笑っていた。その言葉は本心だが、それでもそんな宮と剣杜の笑顔が見られたのなら、いいなかっと思ってしまう。

 剣杜の部屋は宮の部屋とは違いものが多い。
 好きなCDや漫画本、ゲームなどが、リビングの大きな棚に並べられ、テレビ台には沢山の写真が並べられている。仕事関係のものもあるが、やはり虹雫と宮、剣杜の3人のものが圧倒的に多かった。いつの間にか撮られたのか、知らない虹雫や宮の隠し撮りまであり、恥ずかしがりながらも嬉しさがふつふつと沸き上がってくる。剣杜は私たち幼馴染みを本当に大切にしてくれているのだと伝わってのだ。