剣杜は間抜けな声を出し、驚いた表情で2人を代わる代わる見つめる。そして、口を開けたと思うと、大きな声で「やっとかよー………」と、ソファの背もたれに倒れ込んだ。


 「虹雫はずっと片想いしてたからな。よかったなー!」
 「うん。でも、私、今でも信じられないよ。……いろいろ相談に乗ってくれてありがとう。これからも相談すると思うけど。よろしくね」
 「それを恋人になった俺の前で言うのか」
 「おまえには散々悩まされてたからな」
 「悪かった」
 「ふふふ」


 3人でこんな話が出来るようになるとは思っていなかった。
 嬉しさから笑い声が出てしまう。
 すると、隣の宮の視線を感じ、そちらを向くと宮も微笑んでいた。


 「剣杜は、今までと変わらずだけど先に早く話しておきたいって2人で話してたの。わざわざ来てくれて、ありがとう」
 「報告してくれて嬉しいよ。2人共おめでとう」

 虹雫と宮は、また顔を見合わせてから微笑み「ありがとう」と、言葉を返したのだった。


 「あのね、家でご飯作ってきたの。よかったら、食べていって」
 「おーいいのか。いただくよ」
 「わかった。準備してくるね。宮、キッチン借りるね」
 「あぁ。好きにつかってくれ。何もないけど」
 「わかってるよー」


 虹雫はパタパタと料理が入った袋を抱えてキッチンへと向かった。
 電子レンジで料理を温めたり、皿によそったりしながら、ちらりとリビングにいる2人を見る。すると、2人は何かを話しているようだ。